PMIとは?企業改修・M&A後のマネジメントについて徹底解説。
企業が成長するためには、時に他社と合併したり、買収したりする必要があります。
しかし、M&A(合併・買収)を成功させるためには、単に契約を結ぶだけでは不十分です。
M&A後においても、両社の統合プロセスを適切に進めることが重要です。
この統合プロセス全体を指す言葉がPMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)です。
PMIとは何か?
PMIとは、「Post Merger Integration」の略で、「ポスト・マージャー・インテグレーション」とも呼ばれます。
M&A後において、その統合効果を最大化するための統合プロセス全体を意味する言葉です。
PMIでは、以下のような3段階の統合が行われます。
– 経営統合:理念・戦略、マネジメントフレームの統合
– 業務統合:業務・インフラや人材・組織・拠点の統合
– 意識統合:企業風土や文化の統合
PMIでは、これらの各段階でシナジー効果を実現し、企業価値を向上させることが目的です。
デューデリジェンスとは何か?
デューデリジェンスとは、「Due Diligence」の略で、「デュー・ディリジェンス」とも呼ばれます。
M&A実行前において、相手会社に対して財務、税務、法務、ビジネス、人事、IT等の各種調査を行うことをいいます。
デューデリジェンスでは、相手会社の実態やリスクを把握し、取引価格や契約条件などを決定するために必要な情報を収集します。
デューデリジェンスは単なる形式的な手続きではなく、M&A後のPMIについての戦略を検討し、準備するためにも重要な機会です。
デューデリジェンスでは、
– M&Aの目的や想定されるシナジーの仮説
– 統合後の姿
– シナジーに関する仮説の検証
– 統合フェーズで発生しうる課題や問題
などについて検討し、分析します。
ランディング・プランとは何か?
ランディング・プランとは、クロージングから数カ月の間に行われる、短期の統合計画を指します。
ランディング・プランの対象は、大まかには5つのセクション(経営・制度・業務・事業・意識面)に切り分けることができます。
ランディング・プランでは、以下のようなことを行います。
– 統合後の経営体制や組織構造を決定する
– 統合後の人事制度や報酬制度などを見直す
– 統合後の財務会計や管理会計などを整備する
– 統合後の業務システムやオペレーションなどを調整する
– 統合後の事業や取引先などを見直す
– 統合後の企業文化やコミュニケーションなどを推進する
ランディング・プランは、統合効果を早期に実現するために重要な作業です。
しかし、ランディング・プランだけでは不十分であり、中長期的な視点で統合計画を策定する必要があります。
100日プランとは何か?
100日プランとは、クロージングから100日間で実施する中期的な統合計画を指します。
100日プランでは、以下のようなことを行います。
– 経営ビジョンや戦略方針などを明確にする
– シナジー効果やKPI(重要業績評価指標)などを設定し測定する
– マネジメントサイクルやPDCAサイクルなどを導入し進捗管理する
– リスクや問題点などに対応し改善策を実施する
– 従業員への情報伝達や教育研修などを実施する
100日プランは、中長期的な経営効果が求められるM&Aにおいて重要です。
100日プランでは、現状分析だけでなく将来像も描き出し、そのために必要なアクションも具体化します。
また、100日プランでは測定可能かつ達成可能な目標設定が重要です。
目標が曖昧だと達成感が得られずモチベーションが下がりますし、目標が高すぎると挫折感が生じます。
目標設定にあたってはSMART原則(Specific:具体的 / Measurable:測定可能 / Achievable:達成可能 / Relevant:関連性 / Time-bound:時間枠)に沿って考えると良いでしょう。
まとめ
PMIとはM&A後における統合プロセス全体を指す言葉で、その統合効果を最大化するために重要な作業です。
PMIでは、経営・制度・業務・事業・意識の5つのセクションに分けて統合が行われます。
PMIを成功させるためには、デューデリジェンスで収集した情報をもとにランディング・プランや100日プランなどを策定し、実行・測定・改善することが必要です。
また、両社のトップや幹部がコミュニケーションを取り、経営ビジョンや目標設定などを明確にすることも重要です。
PMIはM&Aの成功のカギを握る作業です。 PMIに取り組む際は、自社だけでなく相手企業や従業員の立場も考えながら進めていきましょう。